バンバン劇場

 

ビギナーズラックってホントにあるのね!
 劇団の稽古の帰り。劇団仲間の女優さんと一緒。彼女が「わたしねー、パチンコしたのよ。バンバン・ブラッサムというお店で……」
 私、びっくりして彼女の顔をみた。なぜって、彼女はまじめでおしとやか、というのが劇団の定評だったんですもの。彼女ができて、私にできないなんてことはありえない。
『おちゃっぴー瓜生』の名がすたる、なんて思ったりして……。
 そこで、こっそりカレシをケータイで呼び出した。カレシは結構パチンコやパチスロを楽しんでいるから。バレンタインのチョコも、実はパチンコの景品だったんだよね。
 

 カレシとBANBAN本店に行った。私もうきうき、カレシもパチンコデートなんて……と満更でもない様子。
「オレはパチンコするから、お前はパチスロにしろよ、うんそうしよ」
と勝手に決めつける。
 カレシは1階のパチンココーナー、私は2階のパチスロコーナーへ、しばしの別れ。「ビギナーズラックがあるかもね」とカレシ。
 パチスロにもいろいろな機種があって、目移りしてしまう。テレビゲームに似ているの。父がビデオディレクター、祖父が映画評論家という血を、私も継いでいるのかしら、ゲーム機見ているだけで楽しい。ラスベガスの品のいいカジノって感じかしら。
 カレシに教わったとおりに、まずコインを借りて、3枚コインをいれる。スタートレバーを軽く叩くと、3つの画像がくるくる回る。ストップボタンを押すと1つの画像が止まる。3つの画像が同じ絵柄になると大当たりなんですって。単純明快なゲーム。
 でもなかなか揃わない。これって動体視力が優れている人は得かもしれない。カレシがパチンコに軍配をあげるのは、きっと動体視力が低いからだわ、ウフフ。
 

 なんて思っていたら、ジャジャジャーン、なんと私は大当たり。次から次へとコインがあふれてくる。
 ビギナーズラック万歳!もうすっかり満足。景品にお気に入りのバッグをもらって、1階のカレシのもとに。
 カレシの手元は玉が残り少ない。でも笑顔。「デートでパチンコするなんて最高さ」だって。私、景品のバッグを見せつけてあげた。
「ビギナーズラックってホントにあるんだなあ」だって。